我レ怪ヲ愛ス、とのたまう北村太郎さんの絵が好き、わたしは。
基本、イヌ派のわたしであってもネコ絵やネコ写真には惹かれる。それ以上の収穫は「猫に名前をつける」というT・S・エリオットの詩を真に受けて猫には3つの名前が必要と信じる人がいるという現実。へええ。以下は、そのエリオットの詩の北村訳。
猫にゃー三つの名前がぜったい必要なんだよ、どんなやつでもさ まず、家族が毎日つかう呼び名だ(中略)いっぷう変わって、もっと威厳のある名前がさ でなきゃ、どうしてしっぽをぴんと立てていられる?(中略)そのうえに、第三の名前がまだ残ってるぞ (中略)猫じしんは知ってて(中略)深みのある謎めいた驚くべき名前についてさ
そうして北村自身は実際に愛猫にいくつかの愛称をつけていた。そしてこう語っている。
単一の名前でなく、多くの名前で呼ばれるのは、その主体がいかに豊かな愛につつまれているかという証左であって、このことは人間界の男女の愛の世界にひき比べて考えれば、容易に理解されるところであろう。
最近の読書10冊(予定を含む)
- サン=テグジュペリ Saint-Exupéry R.M.アルベレス(著)中村三郎(訳)1998年改訂版
- においのカゴ 石井桃子創作集 大西香織(編集)
- 日本美術のことばと絵 玉蟲敏子(著)角川選書571
- 考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる 柴田純(著)
- だまされ屋さん 星野智幸(著)
- 日本幼児史 子どもへのまなざし 柴田純(著)
- 雪の森のリサベット アストリッド・リンドグレーン(作)イロン・ヴィークランド(絵)石井登志子(訳)
- 子どもらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号/らしさについて考える③)
- ブリキの卵/この世は少し不思議 恩田陸(著)「タマゴマジック」所収・河北新報出版センター発行
- 分断を超えるハンセン病文学の言葉(執筆)木村哲也(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号)