
我レ怪ヲ愛ス、とのたまう北村太郎さんの絵が好き、わたしは。
基本、イヌ派のわたしであってもネコ絵やネコ写真には惹かれる。それ以上の収穫は「猫に名前をつける」というT・S・エリオットの詩を真に受けて猫には3つの名前が必要と信じる人がいるという現実。へええ。以下は、そのエリオットの詩の北村訳。
猫にゃー三つの名前がぜったい必要なんだよ、どんなやつでもさ まず、家族が毎日つかう呼び名だ(中略)いっぷう変わって、もっと威厳のある名前がさ でなきゃ、どうしてしっぽをぴんと立てていられる?(中略)そのうえに、第三の名前がまだ残ってるぞ (中略)猫じしんは知ってて(中略)深みのある謎めいた驚くべき名前についてさ
そうして北村自身は実際に愛猫にいくつかの愛称をつけていた。そしてこう語っている。
単一の名前でなく、多くの名前で呼ばれるのは、その主体がいかに豊かな愛につつまれているかという証左であって、このことは人間界の男女の愛の世界にひき比べて考えれば、容易に理解されるところであろう。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 「おばさん」がいっぱい(執筆)三辺律子(『図書』岩波書店定期購読誌2021年4月号/本をひらいた時)
- 七万人のアッシリア人 ウイリアム・サローヤン(著)斉藤数衛(訳)現代アメリカ作家集上巻所収1971年初版
- 季(とき)間中ケイ子(筆)ほか/日本児童文学2021年3・4月号 特集25年後の子どもたちへ
- カフカらしくないカフカ 明星聖子(著)
- 雪の練習生 多和田葉子(著)
- 物理の館物語(著者不明)/小川洋子『物理の館物語』参照(柴田元幸編『短篇集』所収)
- 『還れぬ家』『空にみずうみ』佐伯一麦(著)
- 十一年目の枇杷(執筆)佐伯一麦(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/巻頭)
- もっともらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/らしさについて考える④)
- 【続】フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い化面』小野正嗣(筆)NHK100分de名著