船に月の照るまで(詩・画)星野博志(造本・装幀)出原速夫・奥田桂子

星野博志さんの版画タッチもことばセンスも愉快なうえに、この詩画集の出来といったら星野ワールドを奇天烈の極みに高めているんじゃないかな。OH!全部の写真をアップしたいほどだ。息が合っているとは、こういう人たちのことなんだと感歎する。

画としては顔のアップが異常に多い。でも観る者とバッチリ目を合わせることはない。作者のシャイな感じの反映かもしれないし、作者の視線の投影かもしれない。基本、楽しくなるのだけれど、バカ騒ぎのようなおちゃらけの後に何だか哀愁みたいな感覚がまとわりついてくる。

最近/ちょくちょく/が消える

アタマが/消えることはあったが/が消えるとは/思ってもみなかった

どこに消えるかは/およそ見当がつく/空の方だ

鏡に/映しても/の向こうが/見えるだけだから/で自分を/確かめることも/難しい

特に/昼間は/合わすがないわけだから/困る

だからといって/昼間用の仮面を/用意する気にもなれずに/晴れた日は/空の方を/見る


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