星野博志さんの版画タッチもことばセンスも愉快なうえに、この詩画集の出来といったら星野ワールドを奇天烈の極みに高めているんじゃないかな。OH!全部の写真をアップしたいほどだ。息が合っているとは、こういう人たちのことなんだと感歎する。
画としては顔のアップが異常に多い。でも観る者とバッチリ目を合わせることはない。作者のシャイな感じの反映かもしれないし、作者の視線の投影かもしれない。基本、楽しくなるのだけれど、バカ騒ぎのようなおちゃらけの後に何だか哀愁みたいな感覚がまとわりついてくる。
顔
最近/ちょくちょく/顔が消える
アタマが/消えることはあったが/顔が消えるとは/思ってもみなかった
どこに消えるかは/およそ見当がつく/空の方だ
鏡に/映しても/顔の向こうが/見えるだけだから/顔で自分を/確かめることも/難しい
特に/昼間は/合わす顔がないわけだから/困る
だからといって/昼間用の仮面を/用意する気にもなれずに/晴れた日は/空の方を/見る
最近の読書10冊(予定を含む)
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ