
我レ怪ヲ愛ス、とのたまう北村太郎さんの絵が好き、わたしは。
基本、イヌ派のわたしであってもネコ絵やネコ写真には惹かれる。それ以上の収穫は「猫に名前をつける」というT・S・エリオットの詩を真に受けて猫には3つの名前が必要と信じる人がいるという現実。へええ。以下は、そのエリオットの詩の北村訳。
猫にゃー三つの名前がぜったい必要なんだよ、どんなやつでもさ まず、家族が毎日つかう呼び名だ(中略)いっぷう変わって、もっと威厳のある名前がさ でなきゃ、どうしてしっぽをぴんと立てていられる?(中略)そのうえに、第三の名前がまだ残ってるぞ (中略)猫じしんは知ってて(中略)深みのある謎めいた驚くべき名前についてさ
そうして北村自身は実際に愛猫にいくつかの愛称をつけていた。そしてこう語っている。
単一の名前でなく、多くの名前で呼ばれるのは、その主体がいかに豊かな愛につつまれているかという証左であって、このことは人間界の男女の愛の世界にひき比べて考えれば、容易に理解されるところであろう。
最近の読書10冊(予定を含む)
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- アジの味(著)クォン・ヨソン(訳)斎藤真理子(頭木弘樹編『絶望書店』所収)
- ゆるく考える(著)東浩紀 (河出文庫)
- 他所者の神戸(執筆)尾原宏之(『図書』岩波書店定期購読誌2021年6月号)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か? マイケル・サンデル(著)鬼澤忍(訳)
- 「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ 長島有里枝(著)
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- 雲と空のはざまで(執筆)大河原 愛(『図書』岩波書店定期購読誌2021年5月号/巻頭)
- お探し物は図書室まで 青山美智子(著)さくだゆうこ(羊毛フェルト)写真(小嶋淑子)装丁(須田杏菜)
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