石井桃子さんの作品や翻訳のお世話になっていない日本人なんていないでしょうから、紹介は略。収録の作品はいかにも昭和の家庭や子どものにおいがするけれど、古臭く感じないのは、登場人物がひとりのこらず生き生き、のびやかなところに安らぎをおぼえるから。
ただ、平成令和の子らにはどう映るんだろうと、余計な心配をしている。
学校のこづかい室
村の半鐘
リンゴ箱のつくえ
スウェター
まぐそだらけの道
ふろをたきつける
わたしにはどれもこれも(というのは言い過ぎだけれど、おおむね)リアルになつかしいひびきがする。わたしの小学時代の通学路はまぐそだらけの道ではなくて、牛の糞だらけだった。。。
本書はタイトル通り、創作集に徹していて、推薦のことばも解説もあとがきもない。そこがまたいい。編集子大西香織さんの名はよそでもちらほら拝見したことがあるが、どんなかたやら。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ