美術作家永井宏さん没後10年になるのを前に纏められた、永井宏の言葉集。線画(といっていいのか知らないけど)も文章も脱力感の多い印象を放っているが、人を惹きつけるのは内蔵された情熱以外の何物でも無いってことを痛感させてもらえる。そんな情熱をご本人は”執念”と言っておられるけど。。。掲載の短文たちは今でいえばツイート的。そんな文化浸透より10年も前から始められた(それを評して編者の丹治さんは「ひとつの発明」と形容)、カタログ通販のためのメッセージ群だ。この一冊を読めば永井さんは孤高のアーチスト的ながら、積極的にワークショップを開かれるほど仲間や後進を大切にされた方でもあると判る。
ふたつのバッグがあって、ひとつは街に出掛けるときに持っていって、もうひとつは海に持っていく。どっちも、いつでも出掛けられるように用意してあって、それぞれに読みかけの本が入っている。どっちが先に読み終わるんだろう。
MARCH 1996
わたしは、この本をひとつのかばんに入れて、いつでも持って出掛けられるようにしようと心に決めた。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 「おばさん」がいっぱい(執筆)三辺律子(『図書』岩波書店定期購読誌2021年4月号/本をひらいた時)
- 七万人のアッシリア人 ウイリアム・サローヤン(著)斉藤数衛(訳)現代アメリカ作家集上巻所収1971年初版
- 季(とき)間中ケイ子(筆)ほか/日本児童文学2021年3・4月号 特集25年後の子どもたちへ
- カフカらしくないカフカ 明星聖子(著)
- 雪の練習生 多和田葉子(著)
- 物理の館物語(著者不明)/小川洋子『物理の館物語』参照(柴田元幸編『短篇集』所収)
- 『還れぬ家』『空にみずうみ』佐伯一麦(著)
- 十一年目の枇杷(執筆)佐伯一麦(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/巻頭)
- もっともらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/らしさについて考える④)
- 【続】フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い化面』小野正嗣(筆)NHK100分de名著