我レ怪ヲ愛ス、とのたまう北村太郎さんの絵が好き、わたしは。
基本、イヌ派のわたしであってもネコ絵やネコ写真には惹かれる。それ以上の収穫は「猫に名前をつける」というT・S・エリオットの詩を真に受けて猫には3つの名前が必要と信じる人がいるという現実。へええ。以下は、そのエリオットの詩の北村訳。
猫にゃー三つの名前がぜったい必要なんだよ、どんなやつでもさ まず、家族が毎日つかう呼び名だ(中略)いっぷう変わって、もっと威厳のある名前がさ でなきゃ、どうしてしっぽをぴんと立てていられる?(中略)そのうえに、第三の名前がまだ残ってるぞ (中略)猫じしんは知ってて(中略)深みのある謎めいた驚くべき名前についてさ
そうして北村自身は実際に愛猫にいくつかの愛称をつけていた。そしてこう語っている。
単一の名前でなく、多くの名前で呼ばれるのは、その主体がいかに豊かな愛につつまれているかという証左であって、このことは人間界の男女の愛の世界にひき比べて考えれば、容易に理解されるところであろう。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ