星野博志さんの版画タッチもことばセンスも愉快なうえに、この詩画集の出来といったら星野ワールドを奇天烈の極みに高めているんじゃないかな。OH!全部の写真をアップしたいほどだ。息が合っているとは、こういう人たちのことなんだと感歎する。
画としては顔のアップが異常に多い。でも観る者とバッチリ目を合わせることはない。作者のシャイな感じの反映かもしれないし、作者の視線の投影かもしれない。基本、楽しくなるのだけれど、バカ騒ぎのようなおちゃらけの後に何だか哀愁みたいな感覚がまとわりついてくる。
顔
最近/ちょくちょく/顔が消える
アタマが/消えることはあったが/顔が消えるとは/思ってもみなかった
どこに消えるかは/およそ見当がつく/空の方だ
鏡に/映しても/顔の向こうが/見えるだけだから/顔で自分を/確かめることも/難しい
特に/昼間は/合わす顔がないわけだから/困る
だからといって/昼間用の仮面を/用意する気にもなれずに/晴れた日は/空の方を/見る
最近の読書10冊(予定を含む)
- お月さまってどんなあじ? ミヒャエル・グレイニェク(絵・文)いずみちほこ(訳)
- 案外、知らずに歌ってた童謡の謎 合田道人(著)
- 世界の名詩を読みかえす 飯吉光夫(訳・編集)葉祥明・唐仁原教久・東逸子・田渕俊夫(絵)
- 太秦ライムライト(映画パンフ)福本清三・山本千尋
- 白い土地 ルポ福島「福島帰還困難区域」とその周辺 三浦英之(著)
- 『Kaka Murad』 & 『Magic Box』
- ザ・ヘイト・ユー・ギヴ THE HATE U GIVE アンジー・トーマス(著)服部理佳(訳)
- 【読了】EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 桂浜水族館公認飼育員のトリセツ 桂浜水族館(監修)
- The Journal of Art Crime: Fall 2020 Noah Charney (著), Urška Charney (イラスト)