アフガニスタンで命を落とした医師中村哲先生を慕って現地NGOが各1,250冊作成し地元の子らに配布した絵本2冊だ。日本語版となって邦訳出版されるに際しては縁のあったさだまさしさんの訳として売られて発売即重版とか。でもわたしは敢えて元の絵本たちを読みたいと切望する。さだまさしさんの偉業を否定するわけではないが、かれの名前を前面に出して売る商法は好きになれない。厳密には「日本語翻訳製作 さだまさし ほか」となっているけれど、わたしは「ほか」とある処にもっと光を当てて欲しかった。原書の出版そのものに日本のNGOも関わり、その呼びかけで多くの日本人が寄付もしている。現地において、日本などからの支援を得てようやく2500冊製本配布している一方で邦訳本が爆発的に売れるという経済格差、出版格差、それは読書の格差であって、わたしたちはもっとそこに目を向けたい。そして、(これは見方によれば傲慢といわれることを承知で書くが)好き放題に読書しているわたしたちのその拠出が回り回って世界中の子らの読書に資するような、そんな国際的なシステムが自然と構築されることを願ったりしている。そのためなら(わずかなら)価格の上乗せもいいんじゃないか。消費税も大事だけれど、もっと大きな視点も大事にしたい。
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ