あの日。それは2011年3月11日。その日を境に、絵本の世界は変わった! と確信する編集者・筒井大介さんの呼びかけで出来上がった、絵本作家32人の絵とことば。
まずそれぞれの絵が見開きいっぱいに登場し、そのあと、作者たちの思い思いの3.11とそれ以降が文ででてくる。さすがだなと感嘆するのは、絵は絵、文は文と割り切れない表現力だろうか。絵本というからには読み手として想定されるのはこどもらだろうけど、でも、昔こどもだったひと、つまりおとなこそ読むべき人に違いない。それを象徴的におしえてくれるのは及川健治さんの文だ。
この本の企画のお話をいただいてから試しに机の下に潜ってみました。あの日以降の自分のことを考えてみようと思ったのです。するとなぜか僕はあの日よりももっと以前、どんどん過去に戻ってしまって自分が子供だった頃の気持ちになっていました。
そうして彼が思ったのは防空壕にいる自分だった。尋常でない事態にヒトは、無垢なこどもに立ち返るという、ひとつの真理を明示しているように感じられる。(そういうことを自覚できる人だから絵本をつくるべくしてつくっているのだろう。)
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ