星野博志さんの版画タッチもことばセンスも愉快なうえに、この詩画集の出来といったら星野ワールドを奇天烈の極みに高めているんじゃないかな。OH!全部の写真をアップしたいほどだ。息が合っているとは、こういう人たちのことなんだと感歎する。
画としては顔のアップが異常に多い。でも観る者とバッチリ目を合わせることはない。作者のシャイな感じの反映かもしれないし、作者の視線の投影かもしれない。基本、楽しくなるのだけれど、バカ騒ぎのようなおちゃらけの後に何だか哀愁みたいな感覚がまとわりついてくる。
顔
最近/ちょくちょく/顔が消える
アタマが/消えることはあったが/顔が消えるとは/思ってもみなかった
どこに消えるかは/およそ見当がつく/空の方だ
鏡に/映しても/顔の向こうが/見えるだけだから/顔で自分を/確かめることも/難しい
特に/昼間は/合わす顔がないわけだから/困る
だからといって/昼間用の仮面を/用意する気にもなれずに/晴れた日は/空の方を/見る
最近の読書10冊(予定を含む)
- サニーちゃん、シリアへ行く 長有紀枝(文)葉祥明(絵)黒木英充(監修)
- 江戸の空見師 嵐太郎 佐和みずえ(著)
- その白さえ嘘だとしても 河野裕(著)階段島シリーズ第二作 新潮文庫書き下ろし
- indigo+ 赤崎チカ(著)Time is Art シリーズⅢ
- 古書店主とお客さんによる古本入門 漱石全集を買った日 山本善行×清水裕也(対談)
- 暮しの手帖1971年夏号
- 八年後のたけくらべ 領家髙子(著)
- キャパとゲルダ ROBERT CAPA & GERDA TARO ふたりの戦場カメラマン EYES OF THE WORLD マーク・アロンソン&マリナ・ブドーズ(著)原田勝(訳)
- ウルスリのすず SCHELLEN-URSLI ゼリーナ・ヘンツ(文)アロイス・カリジェ(絵)大塚勇三(訳)
- まことに残念ですが… ROTTEN・REJECTIONS 不朽の名作への「不採用通知」160選 アンドレ・バーナード(編著)木原武一(監修)中原裕子(訳)