1930年代、スペイン内戦をはじめとした激動の欧州に戦場カメラマンとして生きた男女2人の共同作業の実像に迫ろうとした、想像ゆたかな力作。男と女としての関係性もないではないにしても、ゲルダ(タロー)は1937年ブルネテで取材ののち27歳で死去し、キャパはその後1954年41歳でベトナムにて死去するまで恋多き写真家となっても独り身を貫き名声を残した。遺された資料としてはほぼ二人の(撮影した、あるいは撮影された)写真しかない、といってもいいほど文献は少ない。だから想像推論を駆使せざるを得ないが、著者の二人もまた共著をなすパートナーであり、夫婦。モデルらの心情に迫るヒントを有していると信じるしかない。されど著者たちの猛烈な調査探究に応じて写真や資料を提供してくれた多くの団体個人があり、掲載写真のクレジットについては国際写真センター(ICP)作成WEBサイトにあるという。必見! 今後かれらの実像がさらに探究されていくに違いない。
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ