美術作家永井宏さん没後10年になるのを前に纏められた、永井宏の言葉集。線画(といっていいのか知らないけど)も文章も脱力感の多い印象を放っているが、人を惹きつけるのは内蔵された情熱以外の何物でも無いってことを痛感させてもらえる。そんな情熱をご本人は”執念”と言っておられるけど。。。掲載の短文たちは今でいえばツイート的。そんな文化浸透より10年も前から始められた(それを評して編者の丹治さんは「ひとつの発明」と形容)、カタログ通販のためのメッセージ群だ。この一冊を読めば永井さんは孤高のアーチスト的ながら、積極的にワークショップを開かれるほど仲間や後進を大切にされた方でもあると判る。
ふたつのバッグがあって、ひとつは街に出掛けるときに持っていって、もうひとつは海に持っていく。どっちも、いつでも出掛けられるように用意してあって、それぞれに読みかけの本が入っている。どっちが先に読み終わるんだろう。
MARCH 1996
わたしは、この本をひとつのかばんに入れて、いつでも持って出掛けられるようにしようと心に決めた。
最近の読書10冊(予定を含む)
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)