「100分 de 名著」テキスト買った。「黒い皮膚・白い仮面」 講師の小野正嗣さんの写真がちと若くてかわいい。この方の作品はまだ読んだことがなくて、NHKのTV『日美』でしか知らない。フランス語文学研究者としての実績も存じあげないので、活字としては本書が初めまして、だ。知性と誠実さにあふれ、推察は推察として示し、読者としての感じ方はそれとして述べ、確信している真実は堂々と。(それが当たり前だが、現代の出版物には偏狂な物書きが多いので安堵。)
フランス植民地だったマルティニーク島で生まれたF.ファノンさんは精神科医であり、アルジェリア独立運動のスポークスマン的存在だった。彼の著は黒人差別の実態と根源的構造に迫った、1952年の発行。原著はフランス語。広く訴えるためには、哀しくも支配者の言語でしか綴れなかった現実。
ファノンはフランス語を使って白人になろうとしたのではありません。何かに、誰かに、自分以外のものになる必要などまったくなかったのです。人間であること以外に何の存在理由もいらないのです。
第一回 言語をめぐる葛藤
つづく。。。
最近の読書10冊(予定を含む)
- サン=テグジュペリ Saint-Exupéry R.M.アルベレス(著)中村三郎(訳)1998年改訂版
- においのカゴ 石井桃子創作集 大西香織(編集)
- 日本美術のことばと絵 玉蟲敏子(著)角川選書571
- 考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる 柴田純(著)
- だまされ屋さん 星野智幸(著)
- 日本幼児史 子どもへのまなざし 柴田純(著)
- 雪の森のリサベット アストリッド・リンドグレーン(作)イロン・ヴィークランド(絵)石井登志子(訳)
- 子どもらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号/らしさについて考える③)
- ブリキの卵/この世は少し不思議 恩田陸(著)「タマゴマジック」所収・河北新報出版センター発行
- 分断を超えるハンセン病文学の言葉(執筆)木村哲也(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号)