「100分 de 名著」テキスト買った。「黒い皮膚・白い仮面」 講師の小野正嗣さんの写真がちと若くてかわいい。この方の作品はまだ読んだことがなくて、NHKのTV『日美』でしか知らない。フランス語文学研究者としての実績も存じあげないので、活字としては本書が初めまして、だ。知性と誠実さにあふれ、推察は推察として示し、読者としての感じ方はそれとして述べ、確信している真実は堂々と。(それが当たり前だが、現代の出版物には偏狂な物書きが多いので安堵。)
フランス植民地だったマルティニーク島で生まれたF.ファノンさんは精神科医であり、アルジェリア独立運動のスポークスマン的存在だった。彼の著は黒人差別の実態と根源的構造に迫った、1952年の発行。原著はフランス語。広く訴えるためには、哀しくも支配者の言語でしか綴れなかった現実。
ファノンはフランス語を使って白人になろうとしたのではありません。何かに、誰かに、自分以外のものになる必要などまったくなかったのです。人間であること以外に何の存在理由もいらないのです。
第一回 言語をめぐる葛藤
つづく。。。
最近の読書10冊(予定を含む)
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)