図書館でぶらぶらしたから出遭えた一冊(滞在わずか20分)。従来特殊あつかいだった字形「蘆手」の存在に光を当てて、水面にうかぶようなデザイン性高い(遊び感覚?の)文字「蘆手」から「かな文字」誕生という可能性に言及している。
一般には万葉仮名(男手)の変形として女手、片仮名が生まれたとされ、絵と見紛う蘆手はいわば異端視されてきたのは、男性中心的な史観ゆえだったのかもしれない。今でこそ装幀者・編集者・印刷技術者が個人として尊重される部分もあるが、むかしは裏方に徹してきた職種だろうから、陰の扱いであったのは歴史の必然といえる。それが著者の手によって表舞台に出てきたのだと考えると、歴史を研究するうえで未開拓の領域は無限とさえいえよう。
あと、ほんに些末かもしれないが、著者の姓「玉蟲」って凄いルーツがあるのかなあと気になって仕方ない。
最近の読書10冊(予定を含む)
- サニーちゃん、シリアへ行く 長有紀枝(文)葉祥明(絵)黒木英充(監修)
- 江戸の空見師 嵐太郎 佐和みずえ(著)
- その白さえ嘘だとしても 河野裕(著)階段島シリーズ第二作 新潮文庫書き下ろし
- indigo+ 赤崎チカ(著)Time is Art シリーズⅢ
- 古書店主とお客さんによる古本入門 漱石全集を買った日 山本善行×清水裕也(対談)
- 暮しの手帖1971年夏号
- 八年後のたけくらべ 領家髙子(著)
- キャパとゲルダ ROBERT CAPA & GERDA TARO ふたりの戦場カメラマン EYES OF THE WORLD マーク・アロンソン&マリナ・ブドーズ(著)原田勝(訳)
- ウルスリのすず SCHELLEN-URSLI ゼリーナ・ヘンツ(文)アロイス・カリジェ(絵)大塚勇三(訳)
- まことに残念ですが… ROTTEN・REJECTIONS 不朽の名作への「不採用通知」160選 アンドレ・バーナード(編著)木原武一(監修)中原裕子(訳)