和歌に取り憑かれた研究者(だと思う)渡部泰明先生の、篤くて温かい和歌系譜談義は、知っていたつもりの歌人たちをそれぞれ和歌史の潮流の立役者として見事に配置してみせている。すごっ。映画に喩えるなら、大物俳優たちをみごとにキャスティングした監督といったところだろうか。それを可能ならしめた端緒は、40年以上前に卒論テーマを決めあぐねていた時、遭遇した寺山修司のことばの鮮烈さだったというから、寺山修司の普遍性にあらためて驚嘆するばかりだ。
そのことばがこちら。
縄目なしには自由の恩恵はわかりがたいように、定型という物が僕に言語の自由をもたらした。
寺山修司「僕のノオト」『空には本』
幸いに、本の帯の裏面には、章立てに掲げられたタイトル群(歌人たちとその役割)が並んでいるからアップしておきたい。
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ