愛媛新聞連載”鎌田慧の「忘れ得ぬ言葉」(13)”に登場したのは俳優・木内みどりさんの気合い一杯の一言。
東日本大震災以降、脱原発集会に夫婦で参加するのみならず、頼まれた司会をあっさり受諾した木内さん。ある冬、東京で行われた街宣車上での演説会に参加した彼女。鎌田さんによれば「見事なまでに無視された」という。後日、その話題になると彼女は言った。
「頑張れる。あれで根性入った」
そんな木内みどりのひとり娘・水野頌子さんは書いている。
木内みどりは、自分自身の決めた正しさにいつでもまっすぐ、強烈な速度で向かっていた
『あかるい死に方』所収
ベテラン俳優さんはきっと仕事柄、スイッチの入れ方が巧いにちがいないが、そんな木内さんでも脱原発などの活動には格別のスイッチが必要だったということだ。われわれは活動家たちの熱量について(冷めて見てないで)、それぞれそこに至るだけの特別のスイッチが入ったに違いないと想いをめぐらしていかなければいけないのだ、たぶん。
現代人に求められる能力の一つは、想像力だ。
最近の読書10冊(予定を含む)
- サン=テグジュペリ Saint-Exupéry R.M.アルベレス(著)中村三郎(訳)1998年改訂版
- においのカゴ 石井桃子創作集 大西香織(編集)
- 日本美術のことばと絵 玉蟲敏子(著)角川選書571
- 考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる 柴田純(著)
- だまされ屋さん 星野智幸(著)
- 日本幼児史 子どもへのまなざし 柴田純(著)
- 雪の森のリサベット アストリッド・リンドグレーン(作)イロン・ヴィークランド(絵)石井登志子(訳)
- 子どもらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号/らしさについて考える③)
- ブリキの卵/この世は少し不思議 恩田陸(著)「タマゴマジック」所収・河北新報出版センター発行
- 分断を超えるハンセン病文学の言葉(執筆)木村哲也(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号)