手にしているのは平成2年改版43版本。この版で注目は表紙の奇っ怪な鉄製?オブジェ写真。左向きの顔にも見えれば、右下向きの顔も見える。作者はかつてTVにもよく出ていたゲージツ家・篠原勝之さんだった。
いまさらカフカの変身を紹介する必要もないくらい、巷には解説も評論も感想文もあふれかえっているに違いないけれど、今回一切参照しないで率直な印象を記しておく。(あとで比較してみるつもり・・・。)主人公は自分が毒虫に変身しちゃったにもかかわらず冷静すぎるのは、想定外の非常事態を経験した人なら「あり得る」と想うはずだ。それより意外だったのはエンディングだ。両親が、息子などいなかったかのごとく娘(主人公の妹)のことを思いやっている姿はシュール過ぎるぞ。人間は悪夢を消したい生き物という、哀しい現実をさらりと描いている。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 映画にしなければならないもの(INTERVIEW)瀬々敬久・佐藤健・阿部寛/キネマ旬報2021年10月上旬号
- 小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌/回顧展公式カタログ兼書籍
- シンポジウム「明日に向けて、何をどう書いていくか」日本児童文学者協会2021公開研究会/案内リーフレット
- 「ぞうもかわいそう」再びー『かわいそうなぞう』の虚偽(筆)長谷川潮/『日本児童文学』2021年9・10月号特集「伝える」を問い直す
- レイシズムを考える(編)清原悠
- 咀嚼不能の石(筆)古矢旬/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号巻頭
- 読書の敵たち(筆)大澤聡/『図書』岩波書店定期購読誌2021年9月号所収
- 宵の蒼(著)ロバート・オレン バトラー(訳)不二淑子/「短編画廊 絵から生まれた17の物語」所収 (ハーパーコリンズ・フィクション)
- 木村素衞――「表現愛」の美学 (再発見 日本の哲学)(著) 小田部胤久
- たまごのはなし(作・絵)しおたにまみこ