愛媛新聞連載”鎌田慧の「忘れ得ぬ言葉」(13)”に登場したのは俳優・木内みどりさんの気合い一杯の一言。
東日本大震災以降、脱原発集会に夫婦で参加するのみならず、頼まれた司会をあっさり受諾した木内さん。ある冬、東京で行われた街宣車上での演説会に参加した彼女。鎌田さんによれば「見事なまでに無視された」という。後日、その話題になると彼女は言った。
「頑張れる。あれで根性入った」
そんな木内みどりのひとり娘・水野頌子さんは書いている。
木内みどりは、自分自身の決めた正しさにいつでもまっすぐ、強烈な速度で向かっていた
『あかるい死に方』所収
ベテラン俳優さんはきっと仕事柄、スイッチの入れ方が巧いにちがいないが、そんな木内さんでも脱原発などの活動には格別のスイッチが必要だったということだ。われわれは活動家たちの熱量について(冷めて見てないで)、それぞれそこに至るだけの特別のスイッチが入ったに違いないと想いをめぐらしていかなければいけないのだ、たぶん。
現代人に求められる能力の一つは、想像力だ。
最近の読書10冊(予定を含む)
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)