(図書館ラベルが強烈、なのは慣れた。)それ以上にインパクトあるタイトルと、想像力を掻き立てる表紙デザイン。察するに、無いはずの四号室の物語かなとの妄想は妄想だった。古いアパートを舞台に繰り広げられる、(ある意味)時空小説。ネタバレ解説を読んでからでも充分愉しめる作品になっている。アパートの一室(五号室)そのものが主人公ともいえるし、繰り返し読んでみる楽しさも(50歳以上なら尚更)ありそうだ。1970年代以降の日本の庶民カルチャーが満載で、非常になつかしく「そうそう、そんなTV見てたな」「たしかに流行っていたなあ」と人生を振り返りつつ、その時代その時代の空気感が蘇ってくる。当然のこと、読者であるはずのわたしも気がつけば五号室の住人の知り合いとして作中に佇んでいるのだ。
ちなみに作者の長嶋有さんは1972年生まれ。
最近の読書10冊(予定を含む)
- お月さまってどんなあじ? ミヒャエル・グレイニェク(絵・文)いずみちほこ(訳)
- 案外、知らずに歌ってた童謡の謎 合田道人(著)
- 世界の名詩を読みかえす 飯吉光夫(訳・編集)葉祥明・唐仁原教久・東逸子・田渕俊夫(絵)
- 太秦ライムライト(映画パンフ)福本清三・山本千尋
- 白い土地 ルポ福島「福島帰還困難区域」とその周辺 三浦英之(著)
- 『Kaka Murad』 & 『Magic Box』
- ザ・ヘイト・ユー・ギヴ THE HATE U GIVE アンジー・トーマス(著)服部理佳(訳)
- 【読了】EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 桂浜水族館公認飼育員のトリセツ 桂浜水族館(監修)
- The Journal of Art Crime: Fall 2020 Noah Charney (著), Urška Charney (イラスト)