愉快のしるし 永井宏(著)信陽堂編集室[丹治史彦・井上美佳](編)

美術作家永井宏さん没後10年になるのを前に纏められた、永井宏の言葉集。線画(といっていいのか知らないけど)も文章も脱力感の多い印象を放っているが、人を惹きつけるのは内蔵された情熱以外の何物でも無いってことを痛感させてもらえる。そんな情熱をご本人は”執念”と言っておられるけど。。。掲載の短文たちは今でいえばツイート的。そんな文化浸透より10年も前から始められた(それを評して編者の丹治さんは「ひとつの発明」と形容)、カタログ通販のためのメッセージ群だ。この一冊を読めば永井さんは孤高のアーチスト的ながら、積極的にワークショップを開かれるほど仲間や後進を大切にされた方でもあると判る。

ふたつのバッグがあって、ひとつは街に出掛けるときに持っていって、もうひとつは海に持っていく。どっちも、いつでも出掛けられるように用意してあって、それぞれに読みかけの本が入っている。どっちが先に読み終わるんだろう。

MARCH 1996

わたしは、この本をひとつのかばんに入れて、いつでも持って出掛けられるようにしようと心に決めた。

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