訳者服部理佳さんの訳本という理由で選んだ一冊。(わざわざ検索したわけでもないのに、図書館で高校生課題図書としてクローズアップされているのに遭遇して速攻手にしたのだ。最近読んだばかりの『失われた芸術作品の記憶』の訳者。)
米国の白人警官による黒人少年射殺事件の理不尽さを黒人目線でストレートに描いた小説。主人公は被害者の友であり事件目撃者となった女子高生、その名もスター。裁判で証言するに至るまでも、その後も、多くの黒人白人を巻き込んでの打々発止が繰り広げられる。はっきりいってエンディングは明るいとは言えない。現実の米国そのもの。でも絶望ではないものを感じられる、といえばいいだろうか。
読んでいて、われながら残念なのは登場するラップ音楽をよくしらないのでイメージできないこと。著者は元ラッパーというから、相当の思い入れをもって挿入してるにちがいないのに。あとで、調べてみようとおもうので少しメモしておく。
- ケンドリック・ラマー 歌詞に「おれたちはだいじょうぶだ」とあった。
- N・W・Aのアイス・キューブ 歌詞に「くたばれ、ポリス。おれはアンダーグラウンドからやって来た。黒人(ニガ)のガキだってだけで、ひでえ目にあってきた」とあった。
- 「おばさん」がいっぱい(執筆)三辺律子(『図書』岩波書店定期購読誌2021年4月号/本をひらいた時)
- 七万人のアッシリア人 ウイリアム・サローヤン(著)斉藤数衛(訳)現代アメリカ作家集上巻所収1971年初版
- 季(とき)間中ケイ子(筆)ほか/日本児童文学2021年3・4月号 特集25年後の子どもたちへ
- カフカらしくないカフカ 明星聖子(著)
- 雪の練習生 多和田葉子(著)
- 物理の館物語(著者不明)/小川洋子『物理の館物語』参照(柴田元幸編『短篇集』所収)
- 『還れぬ家』『空にみずうみ』佐伯一麦(著)
- 十一年目の枇杷(執筆)佐伯一麦(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/巻頭)
- もっともらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/らしさについて考える④)
- 【続】フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い化面』小野正嗣(筆)NHK100分de名著