訳者服部理佳さんの訳本という理由で選んだ一冊。(わざわざ検索したわけでもないのに、図書館で高校生課題図書としてクローズアップされているのに遭遇して速攻手にしたのだ。最近読んだばかりの『失われた芸術作品の記憶』の訳者。)
米国の白人警官による黒人少年射殺事件の理不尽さを黒人目線でストレートに描いた小説。主人公は被害者の友であり事件目撃者となった女子高生、その名もスター。裁判で証言するに至るまでも、その後も、多くの黒人白人を巻き込んでの打々発止が繰り広げられる。はっきりいってエンディングは明るいとは言えない。現実の米国そのもの。でも絶望ではないものを感じられる、といえばいいだろうか。
読んでいて、われながら残念なのは登場するラップ音楽をよくしらないのでイメージできないこと。著者は元ラッパーというから、相当の思い入れをもって挿入してるにちがいないのに。あとで、調べてみようとおもうので少しメモしておく。
- ケンドリック・ラマー 歌詞に「おれたちはだいじょうぶだ」とあった。
- N・W・Aのアイス・キューブ 歌詞に「くたばれ、ポリス。おれはアンダーグラウンドからやって来た。黒人(ニガ)のガキだってだけで、ひでえ目にあってきた」とあった。
- 春の宵(著)クォン・ヨソン(訳)橋本智保/韓国女性文学シリーズ4
- アジの味(著)クォン・ヨソン(訳)斎藤真理子(頭木弘樹編『絶望書店』所収)
- ゆるく考える(著)東浩紀 (河出文庫)
- 他所者の神戸(執筆)尾原宏之(『図書』岩波書店定期購読誌2021年6月号)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か? マイケル・サンデル(著)鬼澤忍(訳)
- 「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ 長島有里枝(著)
- 未確認ハンバーグ弁当(作)日向理恵子/日本児童文学2021年5・6月号
- 雲と空のはざまで(執筆)大河原 愛(『図書』岩波書店定期購読誌2021年5月号/巻頭)
- お探し物は図書室まで 青山美智子(著)さくだゆうこ(羊毛フェルト)写真(小嶋淑子)装丁(須田杏菜)
- 三の隣は五号室 長嶋有(著)中公文庫