【続】フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い化面』小野正嗣(筆)NHK100分de名著

最終章(第4章)の話題は「北アフリカ症候群」という1952年発表の(一応)医学的問題。一応というのが肝だ。医師として当時の北アフリカ人(主にアルジェリア出身のアラブ人移民労働者)に見られる症例を見たF.ファノンさんは彼らの「苦しい」「死にそう」との訴えの原因は医学として個人の肉体を看る範疇を超え、劣悪な環境の問題、社会的問題と捉えた。そしてこの問題を一般雑誌(医学系統でない)に掲載したのだ。

患者の尊厳。今から70年も前に、非植民地の被差別民の人権・尊厳を当たり前のことと考えた一人の医師の問いかけは、今なお世界中につづく問いかけだ。

TV放送では、聴き手の伊集院光さんが「諦めたらそこに分断が生まれ、答えを出したらそこに差別構造が生まれる」と表現していた。つまり、問い続ける精神こそが人間を真の人間たらしめると辨えねばならないのだ。

参照 Frantz Fanon『黒い皮膚・白い仮面』(100分de名著テキスト) 

 

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