手にしているのは平成2年改版43版本。この版で注目は表紙の奇っ怪な鉄製?オブジェ写真。左向きの顔にも見えれば、右下向きの顔も見える。作者はかつてTVにもよく出ていたゲージツ家・篠原勝之さんだった。
いまさらカフカの変身を紹介する必要もないくらい、巷には解説も評論も感想文もあふれかえっているに違いないけれど、今回一切参照しないで率直な印象を記しておく。(あとで比較してみるつもり・・・。)主人公は自分が毒虫に変身しちゃったにもかかわらず冷静すぎるのは、想定外の非常事態を経験した人なら「あり得る」と想うはずだ。それより意外だったのはエンディングだ。両親が、息子などいなかったかのごとく娘(主人公の妹)のことを思いやっている姿はシュール過ぎるぞ。人間は悪夢を消したい生き物という、哀しい現実をさらりと描いている。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 迷子の魂(絵本)Olga Tokarczuk(作) Joanna Concejo(絵)
- 男らしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号/らしさについて考える②)
- 杜甫の作った冷やし麺(執筆)興膳宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号)
- 東洋堂古書目録 令和2年秋号
- しろいみつばち きくちちきの絵本(暮しの手帖Winter 2020-21 特別付録)
- 和歌史 なぜ千年を越えて続いたか(角川選書)
- おふろでちゃぷちゃぷ 松谷みよ子(文) 岩崎ちひろ(絵)
- 宮津昭彦集 自註現代俳句シリーズⅠ期16
- 永遠の緑 浅田次郎著 KEIBA CATALOG vol.18
- 英語発達小史(岩波文庫)H.ブラッドリ著 寺澤芳雄訳