手にしているのは平成2年改版43版本。この版で注目は表紙の奇っ怪な鉄製?オブジェ写真。左向きの顔にも見えれば、右下向きの顔も見える。作者はかつてTVにもよく出ていたゲージツ家・篠原勝之さんだった。
いまさらカフカの変身を紹介する必要もないくらい、巷には解説も評論も感想文もあふれかえっているに違いないけれど、今回一切参照しないで率直な印象を記しておく。(あとで比較してみるつもり・・・。)主人公は自分が毒虫に変身しちゃったにもかかわらず冷静すぎるのは、想定外の非常事態を経験した人なら「あり得る」と想うはずだ。それより意外だったのはエンディングだ。両親が、息子などいなかったかのごとく娘(主人公の妹)のことを思いやっている姿はシュール過ぎるぞ。人間は悪夢を消したい生き物という、哀しい現実をさらりと描いている。
最近の読書10冊(予定を含む)
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)