「100分 de 名著」テキスト買った。「黒い皮膚・白い仮面」 講師の小野正嗣さんの写真がちと若くてかわいい。この方の作品はまだ読んだことがなくて、NHKのTV『日美』でしか知らない。フランス語文学研究者としての実績も存じあげないので、活字としては本書が初めまして、だ。知性と誠実さにあふれ、推察は推察として示し、読者としての感じ方はそれとして述べ、確信している真実は堂々と。(それが当たり前だが、現代の出版物には偏狂な物書きが多いので安堵。)
フランス植民地だったマルティニーク島で生まれたF.ファノンさんは精神科医であり、アルジェリア独立運動のスポークスマン的存在だった。彼の著は黒人差別の実態と根源的構造に迫った、1952年の発行。原著はフランス語。広く訴えるためには、哀しくも支配者の言語でしか綴れなかった現実。
ファノンはフランス語を使って白人になろうとしたのではありません。何かに、誰かに、自分以外のものになる必要などまったくなかったのです。人間であること以外に何の存在理由もいらないのです。
第一回 言語をめぐる葛藤
つづく。。。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 戦争は女の顔をしていない(著)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(訳)三浦みどり
- 徹底して戦争と死について書く(執筆)沼野充義(『図書』岩波書店定期購読誌2020年11月号巻頭)
- 夢の舟唄(德永民平詩集)
- わさびの日本史 (著)山根京子
- 国家への道順(著)柳美里
- 正義のゲーム理論的基礎(著)ケン・ビンモア(訳)栗林寛幸
- 社会契約論ーーホッブス、ヒューム、ルソー、ロールズ(ちくま新書)(著)重田園江
- 40代から始めよう! あぶら身をごっそり落とす きくち体操
- スケール 上──生命、都市、経済をめぐる普遍的法則(著)ジョフリー・ウェスト(訳)山形浩生・森本 正史
- 多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)