石井桃子さんの作品や翻訳のお世話になっていない日本人なんていないでしょうから、紹介は略。収録の作品はいかにも昭和の家庭や子どものにおいがするけれど、古臭く感じないのは、登場人物がひとりのこらず生き生き、のびやかなところに安らぎをおぼえるから。
ただ、平成令和の子らにはどう映るんだろうと、余計な心配をしている。
学校のこづかい室
村の半鐘
リンゴ箱のつくえ
スウェター
まぐそだらけの道
ふろをたきつける
わたしにはどれもこれも(というのは言い過ぎだけれど、おおむね)リアルになつかしいひびきがする。わたしの小学時代の通学路はまぐそだらけの道ではなくて、牛の糞だらけだった。。。
本書はタイトル通り、創作集に徹していて、推薦のことばも解説もあとがきもない。そこがまたいい。編集子大西香織さんの名はよそでもちらほら拝見したことがあるが、どんなかたやら。
最近の読書10冊(予定を含む)
- サン=テグジュペリ Saint-Exupéry R.M.アルベレス(著)中村三郎(訳)1998年改訂版
- においのカゴ 石井桃子創作集 大西香織(編集)
- 日本美術のことばと絵 玉蟲敏子(著)角川選書571
- 考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる 柴田純(著)
- だまされ屋さん 星野智幸(著)
- 日本幼児史 子どもへのまなざし 柴田純(著)
- 雪の森のリサベット アストリッド・リンドグレーン(作)イロン・ヴィークランド(絵)石井登志子(訳)
- 子どもらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号/らしさについて考える③)
- ブリキの卵/この世は少し不思議 恩田陸(著)「タマゴマジック」所収・河北新報出版センター発行
- 分断を超えるハンセン病文学の言葉(執筆)木村哲也(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号)