石井桃子さんの作品や翻訳のお世話になっていない日本人なんていないでしょうから、紹介は略。収録の作品はいかにも昭和の家庭や子どものにおいがするけれど、古臭く感じないのは、登場人物がひとりのこらず生き生き、のびやかなところに安らぎをおぼえるから。
ただ、平成令和の子らにはどう映るんだろうと、余計な心配をしている。
学校のこづかい室
村の半鐘
リンゴ箱のつくえ
スウェター
まぐそだらけの道
ふろをたきつける
わたしにはどれもこれも(というのは言い過ぎだけれど、おおむね)リアルになつかしいひびきがする。わたしの小学時代の通学路はまぐそだらけの道ではなくて、牛の糞だらけだった。。。
本書はタイトル通り、創作集に徹していて、推薦のことばも解説もあとがきもない。そこがまたいい。編集子大西香織さんの名はよそでもちらほら拝見したことがあるが、どんなかたやら。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 迷子の魂(絵本)Olga Tokarczuk(作) Joanna Concejo(絵)
- 男らしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号/らしさについて考える②)
- 杜甫の作った冷やし麺(執筆)興膳宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号)
- 東洋堂古書目録 令和2年秋号
- しろいみつばち きくちちきの絵本(暮しの手帖Winter 2020-21 特別付録)
- 和歌史 なぜ千年を越えて続いたか(角川選書)
- おふろでちゃぷちゃぷ 松谷みよ子(文) 岩崎ちひろ(絵)
- 宮津昭彦集 自註現代俳句シリーズⅠ期16
- 永遠の緑 浅田次郎著 KEIBA CATALOG vol.18
- 英語発達小史(岩波文庫)H.ブラッドリ著 寺澤芳雄訳