2017年に多発性骨髄腫に罹った写真家による人生相談コラムから選ばれた32選。難治の病者なのに頑張る人だから相談される、と思いがちだがそうじゃない。幡野広志だからなんだ。相談されることを好んでもいないし、自分の能力を誇示したりもしない。ただ、相談されるから応答しているだけ。彼は癌ばかりでなく、自身も妻も家族のことで苦しんだ時代を経て今がある(という事実も相談者への返答に応じて開示してるだけ)。相談者の話に向き合う距離感こそ彼の持ち味であり、本人もそれを大切にしている。冷静だけど冷たくない。理解しにくい境遇でも理解しようと全力。直言するが恩着せがましくない。これは想像でしかないが、どんな時も的外れなアドバイスにならない神秘性を秘めているのでは。
彼の写真作品もまた人柄というか生きざまを表しているようだ。人物がほとんど登場しない写真なのに、ヒトの想いみたいなものが彷彿としてくる。人間の表面に接しながらも、内なる世界を感受してしまう眼力を有しているのだろうか。先天的かもしれないし、後天的かもしれない。
- お月さまってどんなあじ? ミヒャエル・グレイニェク(絵・文)いずみちほこ(訳)
- 案外、知らずに歌ってた童謡の謎 合田道人(著)
- 世界の名詩を読みかえす 飯吉光夫(訳・編集)葉祥明・唐仁原教久・東逸子・田渕俊夫(絵)
- 太秦ライムライト(映画パンフ)福本清三・山本千尋
- 白い土地 ルポ福島「福島帰還困難区域」とその周辺 三浦英之(著)
- 『Kaka Murad』 & 『Magic Box』
- ザ・ヘイト・ユー・ギヴ THE HATE U GIVE アンジー・トーマス(著)服部理佳(訳)
- 【読了】EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 桂浜水族館公認飼育員のトリセツ 桂浜水族館(監修)
- The Journal of Art Crime: Fall 2020 Noah Charney (著), Urška Charney (イラスト)