読書? と疑う思いは振り切って、初めて古書目録を採り上げる。定期的に送付いただいているだけで申し訳ない気持ちと、面白い珍本があるかなと興味一杯で1頁1頁を繰っている。その意味で季刊は適度な刺激になっている。今号で大注目は、金剛頂瑜伽蓮華部大儀軌という仏典解説書の鎌倉後期写本。解説によれば3丁目4丁目(3枚目4枚目の紙ということで頁にすれば裏表で4頁分)は日本大蔵経には載っていないとのことで、すこぶるレアもの。底本のことは紹介されていないから実物を手にするほかは確かめる術がない。価格は88万円。わたしは買えないし、東京神田まで観に行くことも大変だから、夢想するばかり。もしも、これが法華経関聯なら、関聯資料を根掘り葉掘りとしつこく探索しつづけることになるのだ。
古書目録の面白さはまたどこかで語りたい。
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)