(きょうの愛媛新聞読書欄には)
そのタイトルにもかかわらず中身は極めて真面目な好著
[河野有理・東京都立大教授]
とあるので早速読んだ。著者(トンボ学生服の会社の人)は大真面目でも、20年も路上観察してればやっぱり怪しいおじさんとして警察の職質に遭遇もしているし、本物の怪しい輩から声掛けられたりもしたなど、他人が聞く分には楽しいエピソードもあって実に読みやすい。
女子高生らの制服着崩しが不良化の一歩だなんて見るのは時代錯誤ではある。おじさんには理解しづらくとも、彼女らには間違いなく自分たちなりの美意識、おしゃれ感覚があってのこと。しかも一学年ちがうだけで嗜好も違うというから、感覚の変化に、並のおじさんはついてはいけない。学生服業界の人はそういうニーズに敏感みたいだ。
さて、この著者のお顔や姿やいかにと思ってWEBを探したら、ありました。そこには、彼女らのファッションセンスのターニングポイントとなった、あの方が大きく紹介されてある。(わたしの興味はあくまで著者のほうだが。)その情報は → ココ。
話を愛媛新聞の記事に戻す。河野有理さん(専門はなんだろう?)が3年前の本書をいまさら「新鮮★新選」として紹介したのは、ほかでもないコロナ禍のマスク・ファッションに結びつけて考えたからであった。普遍的な意味(?)をお探しのようだから、どこかでまた世界に通用するようなマスク・ファッションの本が売れ出すのかもしれない。事実、イスラム文化圏イランの女性がスカーフで顔を覆いながらもファッション性を求めてそれなりの涙ぐましい努力をしていると本書にも書いてある。
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)