コロナ禍で物言う哲学者のジョルジョ・アガンベン氏が指摘している、政治家の作る「例外状態」問題はこの2年で始まったわけではなかった。9.11テロに始まる米国の対テロ政策以降ずっと法的「例外状態」が野放しだったという下地が世界に出来ていたのか。近頃のアフガニスタン問題にからめて、そこに切り込んだ論評を初めて読んだ。一見平和な『図書』が時代の暗部を読者に突きつけてくれるとは。古矢旬さんに感謝。哲学者の言説をしかと受け止めて米国に物言うことのできる日本の政治家が現れたなら、少しはこの国も進歩するだろう。そのためには、 ジョルジョ・アガンベンさんの著作が邦訳でもっともっと読まれないと、と思う。(かくいうわたしも、いまだ読んでないのだけれど。)
『私たちはどこにいるのか?』(2021刊)
もうすぐ、9.11が巡ってくる。どこぞで盛り上がることを期待しつつ、わたしなりにアガンベン著作を咀嚼しようか。
最近の読書10冊(願望を含む)
- 戦争は女の顔をしていない(著)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(訳)三浦みどり
- 徹底して戦争と死について書く(執筆)沼野充義(『図書』岩波書店定期購読誌2020年11月号巻頭)
- 夢の舟唄(德永民平詩集)
- わさびの日本史 (著)山根京子
- 国家への道順(著)柳美里
- 正義のゲーム理論的基礎(著)ケン・ビンモア(訳)栗林寛幸
- 社会契約論ーーホッブス、ヒューム、ルソー、ロールズ(ちくま新書)(著)重田園江
- 40代から始めよう! あぶら身をごっそり落とす きくち体操
- スケール 上──生命、都市、経済をめぐる普遍的法則(著)ジョフリー・ウェスト(訳)山形浩生・森本 正史
- 多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)