社会契約論ーーホッブス、ヒューム、ルソー、ロールズ(ちくま新書)(著)重田園江

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ルソー繋がりで読んだ一冊に夢中になった! もうこの一冊精読だけでブログを書きたい(もしも、わたしがもう一人いるなら、という条件付きで)。ルソーの奇天烈人生も好きだが、本書の教授重田さんがイイ、惚れちゃいそう。。。(「人造人間」の文字入りTシャツ着てるあたりから変人確定? ほれはしないけど)真面目な話として、社会契約論の現代的意義を明らかにしていく文筆も、あれこれ楽屋話を晒してくれるひょうきんぶりも、好感度高いよ。

さて、ルソーの思想と『社会契約論』の文章はこう紹介されている。

彼の思想は、閃光のごとく輝くものを、無理やり線状の文章に落としている。だからいつも言葉が足りないのだ。その表現力は天才的だが、それでも言葉はいつもイメージに遅れてしか到達しない。そのため彼自身にはありありと現前しているものが、読んでいる側にはなかなかつかめないのだ。

重田さんは、こうした前提に立って、独創的な解釈を持ち出そうというのではない。現代に生かすために、特異な視点(それを探し当てることこそが鍵らしい)一つに絞って読み込んでいくことで、「一般意思」なる概念の新たな見え方が(ロールズに託して)出来たというわけだ。それは同時代そして後世の思想家達がルソーを如何に読んだかという異同探究を通じて明らかになっていく。思想史それもルソーの説いた、破滅からの再出発(?)の起源となる「一般意思」がこんなに面白いとは知らなかった。

 

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