手にしているのは平成2年改版43版本。この版で注目は表紙の奇っ怪な鉄製?オブジェ写真。左向きの顔にも見えれば、右下向きの顔も見える。作者はかつてTVにもよく出ていたゲージツ家・篠原勝之さんだった。
いまさらカフカの変身を紹介する必要もないくらい、巷には解説も評論も感想文もあふれかえっているに違いないけれど、今回一切参照しないで率直な印象を記しておく。(あとで比較してみるつもり・・・。)主人公は自分が毒虫に変身しちゃったにもかかわらず冷静すぎるのは、想定外の非常事態を経験した人なら「あり得る」と想うはずだ。それより意外だったのはエンディングだ。両親が、息子などいなかったかのごとく娘(主人公の妹)のことを思いやっている姿はシュール過ぎるぞ。人間は悪夢を消したい生き物という、哀しい現実をさらりと描いている。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 飛ぶ教室66号(2021年夏) 特集:あの物語とその周辺
- 読書からはじまる(著)長田弘/ちくま文庫
- 子どもの本のグレートランナーに聞く! 第1回 神宮輝夫/飛ぶ教室 第61号(2020年春)所収
- 日本の住宅(著)藤井厚二/藤井厚二建築著作集に収録
- コロナと無責任な人たち(著)適菜収/祥伝社新書
- 佐藤愛子の世界(文春ムック)
- 福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか(著)髙野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八
- 【再掲】うたうかたつむり 野田沙織詩集
- 暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ(著)堀川惠子
- 橋本夢道物語―妻よおまえはなぜこんなに可愛いんだろうね(著)殿岡駿星