宮柊二歌集(岩波文庫)

若年時代には若年の哀しすぎるほど鮮烈な一途さがあり、晩年には年輪相応の豊かな余情が宿っていて、各年代の歌集どれにも、お気に入りがある。

第一歌集『群鶏』から

  • つきつめて思ふは苦し庭おもて沈丁に寄る冬の蠅あり(昭和11年、23歳)
  • 靴の下になよめく芝を踏みて立ち心し寂し人も憶へば(昭和14年、26歳)

第十一歌集『純黄』(昭和61年、74歳刊)から

  • ひげそらぬ我の陰口ミヤリイノ・シュージノヴィッチと呼ぶ友のあり
  • テレビなど今日見てゐしがホウレンソウ食べしポパイの如くはならず

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