訳者服部理佳さんの訳本という理由で選んだ一冊。(わざわざ検索したわけでもないのに、図書館で高校生課題図書としてクローズアップされているのに遭遇して速攻手にしたのだ。最近読んだばかりの『失われた芸術作品の記憶』の訳者。)
米国の白人警官による黒人少年射殺事件の理不尽さを黒人目線でストレートに描いた小説。主人公は被害者の友であり事件目撃者となった女子高生、その名もスター。裁判で証言するに至るまでも、その後も、多くの黒人白人を巻き込んでの打々発止が繰り広げられる。はっきりいってエンディングは明るいとは言えない。現実の米国そのもの。でも絶望ではないものを感じられる、といえばいいだろうか。
読んでいて、われながら残念なのは登場するラップ音楽をよくしらないのでイメージできないこと。著者は元ラッパーというから、相当の思い入れをもって挿入してるにちがいないのに。あとで、調べてみようとおもうので少しメモしておく。
- ケンドリック・ラマー 歌詞に「おれたちはだいじょうぶだ」とあった。
- N・W・Aのアイス・キューブ 歌詞に「くたばれ、ポリス。おれはアンダーグラウンドからやって来た。黒人(ニガ)のガキだってだけで、ひでえ目にあってきた」とあった。
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)