短編ならではの、日本的な空白の美学と感歎するばかり。主人公のうら若い武家妻・野江の不遇にふと訪れた微かな恋心は、不倫といってしまえばそれまでだけれど、そんな俗語で穢してほしくない救済の希望を纏いながら彼女を突きうごかしてゆく。で、どうなるの、というところは状況も周辺人物の思いも全く描かれることなく、読者の夢想に委ねられる。
やっぱり渋くて巧いなあ、藤沢先生は。
- 迷子の魂(絵本)Olga Tokarczuk(作) Joanna Concejo(絵)
- 男らしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号/らしさについて考える②)
- 杜甫の作った冷やし麺(執筆)興膳宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号)
- 東洋堂古書目録 令和2年秋号
- しろいみつばち きくちちきの絵本(暮しの手帖Winter 2020-21 特別付録)
- 和歌史 なぜ千年を越えて続いたか(角川選書)
- おふろでちゃぷちゃぷ 松谷みよ子(文) 岩崎ちひろ(絵)
- 宮津昭彦集 自註現代俳句シリーズⅠ期16
- 永遠の緑 浅田次郎著 KEIBA CATALOG vol.18
- 英語発達小史(岩波文庫)H.ブラッドリ著 寺澤芳雄訳