わたしには理解不能の世界である。夏目漱石先生を筆頭に、神経質な読書人の皆さんは静寂でなけれな無間地獄にも等しい苦痛と感じるらしい。わたしの場合は、どれほど騒がしい場所でも、本を読み出したら本の世界に没入してしまう性(たち)なのでそうでない人びとの気持ちがよくわからない。(そんなわたしも睡眠の際は静寂でなけれな無間地獄と思うので、人それぞれだなあというくらいは感じている。)
ショーペンハウアーはこんなこともいっている。音になんら煩わされることもなく私の苦痛を笑う人間は、無感覚ゆえに思想も詩も芸術も解さない、頭脳の鈍い野蛮な奴らなのだ。
笑うしかない、本当に。大澤さんらから見てわたしなんぞは野蛮人らしい。腹立つどころか笑うしかない。きっと、自称読書人には、静寂必須人とか騒音無関係人とか、いろんなタイプの読書人がいるのです。実に愉しい世界だ。
最近の読書10冊(願望を含む)
- サニーちゃん、シリアへ行く 長有紀枝(文)葉祥明(絵)黒木英充(監修)
- 江戸の空見師 嵐太郎 佐和みずえ(著)
- その白さえ嘘だとしても 河野裕(著)階段島シリーズ第二作 新潮文庫書き下ろし
- indigo+ 赤崎チカ(著)Time is Art シリーズⅢ
- 古書店主とお客さんによる古本入門 漱石全集を買った日 山本善行×清水裕也(対談)
- 暮しの手帖1971年夏号
- 八年後のたけくらべ 領家髙子(著)
- キャパとゲルダ ROBERT CAPA & GERDA TARO ふたりの戦場カメラマン EYES OF THE WORLD マーク・アロンソン&マリナ・ブドーズ(著)原田勝(訳)
- ウルスリのすず SCHELLEN-URSLI ゼリーナ・ヘンツ(文)アロイス・カリジェ(絵)大塚勇三(訳)
- まことに残念ですが… ROTTEN・REJECTIONS 不朽の名作への「不採用通知」160選 アンドレ・バーナード(編著)木原武一(監修)中原裕子(訳)