わたしには理解不能の世界である。夏目漱石先生を筆頭に、神経質な読書人の皆さんは静寂でなけれな無間地獄にも等しい苦痛と感じるらしい。わたしの場合は、どれほど騒がしい場所でも、本を読み出したら本の世界に没入してしまう性(たち)なのでそうでない人びとの気持ちがよくわからない。(そんなわたしも睡眠の際は静寂でなけれな無間地獄と思うので、人それぞれだなあというくらいは感じている。)
ショーペンハウアーはこんなこともいっている。音になんら煩わされることもなく私の苦痛を笑う人間は、無感覚ゆえに思想も詩も芸術も解さない、頭脳の鈍い野蛮な奴らなのだ。
笑うしかない、本当に。大澤さんらから見てわたしなんぞは野蛮人らしい。腹立つどころか笑うしかない。きっと、自称読書人には、静寂必須人とか騒音無関係人とか、いろんなタイプの読書人がいるのです。実に愉しい世界だ。
最近の読書10冊(願望を含む)
- 生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)森岡正博著
- 霊と肉 山折哲雄著
- ほんとさいこうの日 レイン・スミス作/青山南訳
- 寝てもとれない疲れをとる本(PHP文庫)中根一著
- いなくなれ、群青(新潮文庫)河野裕著
- 幸せになりたければねこと暮らしなさい 樺木宏(著)かばきみなこ(監修)
- あの日からの或る日の絵とことば 筒井大介編
- 女性史は可能か UNE HISTOIRE DES FEMMES EST-ELLE POSSIBLE? ミシェル・ペロー編 (邦訳初版)
- 日本語の連続/不連続 百年前の「かきことば」を読む (平凡社新書)今野真二著
- 目利きの本屋さんに聞いてみた(暮しの手帖Winter 2020-21)