自分の中で長年もやもやしていた「言葉にならない何か」にひとつの名前を授けてもらった気がする。人はなぜ読書するのか? 「本」の世界に意味を求めがちだが、「本という考え方」の世界、そういう世界観こそが人を吸引しているのだ。
本という文化が長年かかって培ってきたものは、本に書かれているものを通して、そこに書かれていないものを想像させるちからです。今日、わたしたちの社会がぶつかっている問題は、書かれていないものを必要とする考え方をなくしてしまったことに起因している、そのためにとまどっているように思われるのです。
著者は、わたしたちの既成概念をひっくり返してくれる、まさに「本という考え方」をストレートに突き付けている。
読書というのは、「私」を探している本に出会うという経験です。(中略)のぞむべきは、本は「私」の友人、というあり方でなく、「私」は本の友人、というあり方です。
子どもの本に対する考え方には大いに賛成。わたしは本屋でも図書館でも、一人で児童書コーナーをうろうろするのだけれど、それって「変なおじさん」視されていて、多くの人は「しない」行為というのにはビックリした(笑)。
子どもの本についての、これまでのような「子どもだけが読むべき本」とするような考え方の縛りになっている先入観を崩してゆく。そうすることで、子どもの本の世界を、子どもたちと大人たちとが一緒にそこにいる想像力の場にしてゆかないと、子どもたちの世界からも、大人たちの世界からも、何か大切なものがこぼれていってしまうのではないかと怖れます。
最近の読書10冊(願望を含む)
- 迷子の魂(絵本)Olga Tokarczuk(作) Joanna Concejo(絵)
- 男らしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号/らしさについて考える②)
- 杜甫の作った冷やし麺(執筆)興膳宏(『図書』岩波書店定期購読誌2020年12月号)
- 東洋堂古書目録 令和2年秋号
- しろいみつばち きくちちきの絵本(暮しの手帖Winter 2020-21 特別付録)
- 和歌史 なぜ千年を越えて続いたか(角川選書)
- おふろでちゃぷちゃぷ 松谷みよ子(文) 岩崎ちひろ(絵)
- 宮津昭彦集 自註現代俳句シリーズⅠ期16
- 永遠の緑 浅田次郎著 KEIBA CATALOG vol.18
- 英語発達小史(岩波文庫)H.ブラッドリ著 寺澤芳雄訳