作者の策に進んでハマって愉しい。ここに収められた24篇のエッセイはハッキリ言って新しくない(2011~2017年執筆)のだがあまり意識しないし、わざわざ前書きにつづいて「著者からのお願い」と題して、読み飛ばしていただいていい2篇を例示してあるが、それこそ読むべし、という感じ。「全国の巻き尺への疑惑を晴らしたい」と「憎き相手校を応援する理由」。
それにしても、どうしてタイトルの「頓」の字にだけフリガナがついているんだろう。これも著者のこだわりなんだ。
どれもこれも実に軽妙なのに、軽薄ではないなあとしみじみ思う。末文で「ある方」に仮託して示された文章がそれを物語っている。(その「ある方」が誰か気になる人は本書を手に取る運命にあるかも。。。)
この世界には人間の思惑を遥かに超えた力が存在することを分かってほしいという、その方なりの思い故であった……と信じたい。
最近の読書10冊(予定を含む)
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)