25年後の子どもたちへ、と題した特集「ひとこと集」。ひとことっていうのは大抵「それ長いよ」と思うが、マジで一言だと「短すぎ」と感じるのが常ではないか。その意味では節度あるひとことが並んでいる。最短のひとことは、武鹿悦子さん(児童詩人)。
じぶんを たいせつに /ひとを たいせつに /すべての いのちを /たいせつに
もうひと方、間中ケイ子さん(詩人)は詩でひとこと。
季(とき)
風に ゆれながら /根が のびていく
雨に ぬれながら /緑は 深くなっていく
蝶は /ゆっくり 宙(そら)に 舞い上がる
やわらかな闇のバランス柿若葉
テーマとしては、25年後の子どもたちへのメッセージだが、実際に25年後の少年少女の眼に触れるのだろうか。実際には、今、この雑誌を購読している(そこそこの年配者が多かろう)読者たちに向けて「25年後の子どもたちに思いを馳せて今をよりよく生きてください」との一言たちに他なるまい。
最近の読書10冊(予定を含む)
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)