1930年代、スペイン内戦をはじめとした激動の欧州に戦場カメラマンとして生きた男女2人の共同作業の実像に迫ろうとした、想像ゆたかな力作。男と女としての関係性もないではないにしても、ゲルダ(タロー)は1937年ブルネテで取材ののち27歳で死去し、キャパはその後1954年41歳でベトナムにて死去するまで恋多き写真家となっても独り身を貫き名声を残した。遺された資料としてはほぼ二人の(撮影した、あるいは撮影された)写真しかない、といってもいいほど文献は少ない。だから想像推論を駆使せざるを得ないが、著者の二人もまた共著をなすパートナーであり、夫婦。モデルらの心情に迫るヒントを有していると信じるしかない。されど著者たちの猛烈な調査探究に応じて写真や資料を提供してくれた多くの団体個人があり、掲載写真のクレジットについては国際写真センター(ICP)作成WEBサイトにあるという。必見! 今後かれらの実像がさらに探究されていくに違いない。
- サン=テグジュペリ Saint-Exupéry R.M.アルベレス(著)中村三郎(訳)1998年改訂版
- においのカゴ 石井桃子創作集 大西香織(編集)
- 日本美術のことばと絵 玉蟲敏子(著)角川選書571
- 考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる 柴田純(著)
- だまされ屋さん 星野智幸(著)
- 日本幼児史 子どもへのまなざし 柴田純(著)
- 雪の森のリサベット アストリッド・リンドグレーン(作)イロン・ヴィークランド(絵)石井登志子(訳)
- 子どもらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号/らしさについて考える③)
- ブリキの卵/この世は少し不思議 恩田陸(著)「タマゴマジック」所収・河北新報出版センター発行
- 分断を超えるハンセン病文学の言葉(執筆)木村哲也(『図書』岩波書店定期購読誌2021年2月号)