1930年代、スペイン内戦をはじめとした激動の欧州に戦場カメラマンとして生きた男女2人の共同作業の実像に迫ろうとした、想像ゆたかな力作。男と女としての関係性もないではないにしても、ゲルダ(タロー)は1937年ブルネテで取材ののち27歳で死去し、キャパはその後1954年41歳でベトナムにて死去するまで恋多き写真家となっても独り身を貫き名声を残した。遺された資料としてはほぼ二人の(撮影した、あるいは撮影された)写真しかない、といってもいいほど文献は少ない。だから想像推論を駆使せざるを得ないが、著者の二人もまた共著をなすパートナーであり、夫婦。モデルらの心情に迫るヒントを有していると信じるしかない。されど著者たちの猛烈な調査探究に応じて写真や資料を提供してくれた多くの団体個人があり、掲載写真のクレジットについては国際写真センター(ICP)作成WEBサイトにあるという。必見! 今後かれらの実像がさらに探究されていくに違いない。
- 生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)森岡正博著
- 霊と肉 山折哲雄著
- ほんとさいこうの日 レイン・スミス作/青山南訳
- 寝てもとれない疲れをとる本(PHP文庫)中根一著
- いなくなれ、群青(新潮文庫)河野裕著
- 幸せになりたければねこと暮らしなさい 樺木宏(著)かばきみなこ(監修)
- あの日からの或る日の絵とことば 筒井大介編
- 女性史は可能か UNE HISTOIRE DES FEMMES EST-ELLE POSSIBLE? ミシェル・ペロー編 (邦訳初版)
- 日本語の連続/不連続 百年前の「かきことば」を読む (平凡社新書)今野真二著
- 目利きの本屋さんに聞いてみた(暮しの手帖Winter 2020-21)