若年時代には若年の哀しすぎるほど鮮烈な一途さがあり、晩年には年輪相応の豊かな余情が宿っていて、各年代の歌集どれにも、お気に入りがある。
第一歌集『群鶏』から
- つきつめて思ふは苦し庭おもて沈丁に寄る冬の蠅あり(昭和11年、23歳)
- 靴の下になよめく芝を踏みて立ち心し寂し人も憶へば(昭和14年、26歳)
第十一歌集『純黄』(昭和61年、74歳刊)から
- ひげそらぬ我の陰口ミヤリイノ・シュージノヴィッチと呼ぶ友のあり
- テレビなど今日見てゐしがホウレンソウ食べしポパイの如くはならず
- 「おばさん」がいっぱい(執筆)三辺律子(『図書』岩波書店定期購読誌2021年4月号/本をひらいた時)
- 七万人のアッシリア人 ウイリアム・サローヤン(著)斉藤数衛(訳)現代アメリカ作家集上巻所収1971年初版
- 季(とき)間中ケイ子(筆)ほか/日本児童文学2021年3・4月号 特集25年後の子どもたちへ
- カフカらしくないカフカ 明星聖子(著)
- 雪の練習生 多和田葉子(著)
- 物理の館物語(著者不明)/小川洋子『物理の館物語』参照(柴田元幸編『短篇集』所収)
- 『還れぬ家』『空にみずうみ』佐伯一麦(著)
- 十一年目の枇杷(執筆)佐伯一麦(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/巻頭)
- もっともらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/らしさについて考える④)
- 【続】フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い化面』小野正嗣(筆)NHK100分de名著