「らしさ」についての論考トップはやはり、女らしさ。民俗学者らしく柳田國男先生の著述をあげているなかに、昭和17年刊行開始の「女性叢書」に触れて、大平洋戦争下に女性の読者を想定した意欲的シリーズと評している。でも、さらに掘り下げるなら柳田研究の雄、福田アジオ先生のごとく、柳田先生の女性観はどこまでいっても男性社会の補助としての女性といったあたりまで突っ込んで欲しいところ。つまり戦時下にあって為政者にいいように利用された思想にも見えるのではないか。(限られた紙数でそこまで要求しては申し訳ないのだけれど。)
戦時中に関して言うなら、同じく紹介されている「婦女新聞」(明治33年創刊)が昭和17年3月で廃刊になった経緯も知りたいところだ。女性の投稿の場として福島四郎(1874-1945)なる人物が私費を投じ単身で編集発行をはじめた、その真意やら社会の受け止めについてももっと知りたくなった。(つまり執筆者畑中さんの文章に思いっきり感化されちまったということ。多謝)