25年後の子どもたちへ、と題した特集「ひとこと集」。ひとことっていうのは大抵「それ長いよ」と思うが、マジで一言だと「短すぎ」と感じるのが常ではないか。その意味では節度あるひとことが並んでいる。最短のひとことは、武鹿悦子さん(児童詩人)。
じぶんを たいせつに /ひとを たいせつに /すべての いのちを /たいせつに
もうひと方、間中ケイ子さん(詩人)は詩でひとこと。
季(とき)
風に ゆれながら /根が のびていく
雨に ぬれながら /緑は 深くなっていく
蝶は /ゆっくり 宙(そら)に 舞い上がる
やわらかな闇のバランス柿若葉
テーマとしては、25年後の子どもたちへのメッセージだが、実際に25年後の少年少女の眼に触れるのだろうか。実際には、今、この雑誌を購読している(そこそこの年配者が多かろう)読者たちに向けて「25年後の子どもたちに思いを馳せて今をよりよく生きてください」との一言たちに他なるまい。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 春の宵(著)クォン・ヨソン(訳)橋本智保/韓国女性文学シリーズ4
- アジの味(著)クォン・ヨソン(訳)斎藤真理子(頭木弘樹編『絶望書店』所収)
- ゆるく考える(著)東浩紀 (河出文庫)
- 他所者の神戸(執筆)尾原宏之(『図書』岩波書店定期購読誌2021年6月号)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か? マイケル・サンデル(著)鬼澤忍(訳)
- 「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ 長島有里枝(著)
- 未確認ハンバーグ弁当(作)日向理恵子/日本児童文学2021年5・6月号
- 雲と空のはざまで(執筆)大河原 愛(『図書』岩波書店定期購読誌2021年5月号/巻頭)
- お探し物は図書室まで 青山美智子(著)さくだゆうこ(羊毛フェルト)写真(小嶋淑子)装丁(須田杏菜)
- 三の隣は五号室 長嶋有(著)中公文庫