図書館でぶらぶらしたから出遭えた一冊(滞在わずか20分)。従来特殊あつかいだった字形「蘆手」の存在に光を当てて、水面にうかぶようなデザイン性高い(遊び感覚?の)文字「蘆手」から「かな文字」誕生という可能性に言及している。
一般には万葉仮名(男手)の変形として女手、片仮名が生まれたとされ、絵と見紛う蘆手はいわば異端視されてきたのは、男性中心的な史観ゆえだったのかもしれない。今でこそ装幀者・編集者・印刷技術者が個人として尊重される部分もあるが、むかしは裏方に徹してきた職種だろうから、陰の扱いであったのは歴史の必然といえる。それが著者の手によって表舞台に出てきたのだと考えると、歴史を研究するうえで未開拓の領域は無限とさえいえよう。
あと、ほんに些末かもしれないが、著者の姓「玉蟲」って凄いルーツがあるのかなあと気になって仕方ない。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 戦争は女の顔をしていない(著)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(訳)三浦みどり
- 徹底して戦争と死について書く(執筆)沼野充義(『図書』岩波書店定期購読誌2020年11月号巻頭)
- 夢の舟唄(德永民平詩集)
- わさびの日本史 (著)山根京子
- 国家への道順(著)柳美里
- 正義のゲーム理論的基礎(著)ケン・ビンモア(訳)栗林寛幸
- 社会契約論ーーホッブス、ヒューム、ルソー、ロールズ(ちくま新書)(著)重田園江
- 40代から始めよう! あぶら身をごっそり落とす きくち体操
- スケール 上──生命、都市、経済をめぐる普遍的法則(著)ジョフリー・ウェスト(訳)山形浩生・森本 正史
- 多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)